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いまの日本の都市に暮らすものにとって、出家することは難しい。いきなり出家しても、たんにホームレスの人と思われるだけで、尊敬し、施してもらえるどころか、嫌がられ、排除され、ひどい場合には集団暴行を受けるかもしれない。
でも、社会的な出家の基準というものをよくよく考えてみると、都市に住む近代人は、それだけですでに半分ぐらい「出家」しているともいえる。というのも、都市民とはもともと地域共同体を離れて移住してきた人々の末裔であり、地域共同体を捨てた人たちの群れなのだ。会社人はしょっちゅう転勤するので定住率が低い。しょっちゅう移住するので、土地をはじめ、あんまりたくさんのものを所有することができない。結婚してマイホームを建ててしまったりすると出家度は減るけれども、とくに日本の都市では土地の値段はやたらに高いので、なかなか個人で家を所有することは難しい。逆に、もっと移住の速度を上げ、もっと移住の単位を、つまり家族の規模を縮小すればするほど、その生活はますます出家者的になる。皮肉なことだが、会社なんかやめて田舎に帰って農業でもやろう、などと考えるほうがじつは還俗的だったりする。
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